大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和61年(あ)1177号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意は、違憲をいうが、実質は単なる法令違反の主張であり、弁護人河合信義の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

なお、所論にかんがみ、本件における盗犯等の防止及び処分に関する法律三条の常習累犯窃盗罪と軽犯罪法一条三号の侵入具携帯罪の罪数関係につき検討する。

原判決の認定するところによれば、本件起訴にかかる常習累犯窃盗罪は、被告人が常習として昭和六〇年五月三日午前三時ころ大阪市住吉区内の寿司店において金員を窃取したことを内容とするものであり、また、確定判決のあった侵入具携帯罪は、被告人が同月三〇日午前二時二〇分ころ同市阿倍野区内の公園において住居侵入・窃盗の目的で金槌等を隠して携帯していたというものであって、このように機会を異にして犯された常習累犯窃盗と侵入具携帯の両罪は、たとえ侵入具携帯が常習性の発現と認められる窃盗を目的とするものであったとしても、併合罪の関係にあると解するのが相当であるから、これと同旨の原判決の結論は正当である。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 林 藤之輔 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島 昭 裁判官 香川保一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例